老健こと、介護老人保健施設で働く介護士の方が、老健を辞めたい…とふと思ってしまった時に知っておきたいことをお伝えいたします。
老健を辞めたいと思っているけど、まずどうしたらいいのか、そもそも、本当に辞めていいのだろうか?という疑問をお持ちの方は、ぜひ読んでみてください。
老健を辞めたい介護士はどれくらい?
老健って介護施設ではありますが、リハビリが主目的ですよね。
特養(特別養護老人ホーム)は終の棲家と呼ばれていますが、老健は基本的に利用者さんが在宅に戻れるようにサポートする施設です。
そんなことは働いている方からすると当然のことだと思いますが、では、全国に老健がどのくらいあるかはご存知でしょうか?
こちらは厚生労働省の「平成29年介護サービス施設・事業所調査」の結果から抜粋したものです。
介護老人保健施設は、全国で4,322か所あります。
なかなか膨大な数ですね。
次に、老健の介護職員の数を見てみます。
全国の介護施設の情報を網羅している介護DBというサイトで老健の職員構成を見てみると、定員100名規模の施設で、介護職員は約30人程度でした。
先ほどの厚生労働省の調査では、老健1施設当たりの定員は86.3人と出ていたので、これをそのまま当てはめてざっくり計算すると、老健の介護職員は全国で約10万8,050人いることになります。
約10万人の老健の介護職員のうち、辞めたいと思っている職員が仮に1%だとしても1,000人。(恐らく1%じゃ足りないと思いますが…!)
あなたと同じように「老健を辞めたい…」という悩みを抱えている介護士は、全国で1,000人もいるという計算になります。
1,000人の辞めたい老健の介護士
1,000人ってちょっとしたマンモス校の数ですよね。
そのくらい同じ思いの仲間がいるわけで、老健という枠を外せば、もっと膨大な数の介護職員が仕事を辞めたい…と悩んでいるはずです。
そう考えるだけでも、ちょっとは安心できるのでは?…と思います。
辞めたいという思いが強い時は、仕事の辛さで視野が狭くなってしまいがちです。
ググっと視野を広げる意味で、最初にこんなお話をしてみました。
どうして老健を辞めたいのか?
あなたはなぜ老健を辞めたいのでしょうか?
人それぞれに理由があるとは思います。
ここで自分語りをお許しください。
僕は今の職場は2社目で、介護業界で転職を経験しています。
1社目に勤めていた時、なぜ辞めたかったのかを思い出してみると…
- とにかく体力的にきつかった
- 休日出勤があった
- 給料が低い
- 上司の指示が変わる
- とにかく朝起きるのが辛い…
総じて言うと、仕事に対して給与が見合わなくて辛かった…です。
あ、あと人間関係もやっぱり辛かったかな~…
老健を辞めたい介護士のあなたはどうでしょうか?
辞めたい理由の明確化
介護系資格のカリキュラムに「介護過程」ってありますよね。
そこに「課題の明確化」というのがありますが、介護職を辞めたい方に必要なのは正にこれだと思います。
辞めたいという課題の明確化です。
漠然と辞めたい…と悶々と思っているだけだと、ずっとその辛い状況が続いてしまいます。
まず、ご自身の辞めたい理由をハッキリさせるところから。
老健を辞めたい介護士の方が、これから先を考える上では、ここがスタートになると思います。
いわば、ご自身のケアプランを考えるようなイメージです。
ここからは実践編です。
重要なポイントではありますが、そんなガッツリ構える必要は無いので、コーヒーでも飲みながら、ゆったりリラックスして取り組んでいただけたらと思います。
老健を辞めたい介護士のためのケアプラン:実践編
まず、良いプランを立てるためには、「何が問題なのか?」という点を明らかにする必要があります。
現状では、「仕事が嫌だ」という問題は明らかだと思いますが、もうちょっと掘り下げて考えてみます。
何が問題なのか?
「激務の割に給料が安い」「●●さんとの関係」「仕事自体が退屈」…こんな感じで、もうちょっと具体的に何が問題なのかを明らかにしていきます。
問題が複数ある場合もありますが、それはそれでOK。
解決策を考える時に一つずつゆっくり考えていけばいいので、ここでは何が問題なのかを思いつく限り挙げていきます。
問題の分析
何が問題なのかが見えてきたら、次にその分析をしていきます。
分析と言うと難しそうですが、要は「その問題が妥当かどうか」を確かめる作業です。
例えば「給料が低い」というのが問題だとしたら、自分の給料を見えるように書き出します。
先月の給与明細を出してきてチェックするといいですね。
そして、この給料は果たして高いのか低いのか、割に合っているのかを考えます。
ここで参考になるのは、客観的な指標です。
客観的な指標と照らし合わせて、自分の給料が低いと結論が出せれば、その問題は妥当です。
ちなみに、介護福祉士の平均給与を調べた記事なんかもありますので参考にしてみてください↓
真の問題を考える
書き出した問題が妥当だということが分かれば、後は解決策を考えるばかり…ではなく、問題をさらに深堀りします。
どうしてかというと、「給料が低い」のが問題だとしても、じゃあそのことでどんな弊害が生まれているのか?
実はそっちの方が真の問題だからです。
例えばですが、給料が低いことじゃなくて、「同年代との給料の差を感じてツライ…」というのが真の問題だったりします。
給料は確かに低いけど、自分としては生活できている。
実は職場の環境に不満はそんなに無い。
だけど、友人との飲み会で給料の話になったとき、自分だけすごく低かったのが嫌だった…と。
介護職にとっては割とあることかな~と思いますが、この場合、給料を上げることが解決策じゃなくて、自分の中にある比較意識と折り合いをつける…というのが解決策になります。
職場に不満が無く、給料も生活できるレベルで満足しているなら、今の老健を辞めなくてもいいですよね。
問題は、自分の考え方ひとつなので、考え方を変えればあっさり悩みが解決することもあります。
あなたが老健を辞めたいと思っている、真の問題は何でしょうか?
解決策を考え、実行する
真の問題が分かると、自分の中で「あ、自分はこれに悩んでいたんだ!」っていうのが分かります。
これはウンウン唸りながら出ることもあれば、ちょっと息抜きしている時に出ることもあります。
この真の問題が出ると、それだけでかなりスッキリします。
そして、解決策は恐らく割と簡単に導き出せると思います。
「あぁそうか。老健の仕事を辞めたいっていうより、●●さんと2人介助に入るのが嫌なだけなんだな」とか。
「あぁそうか。このままこの老健にいてもずっと同じことの繰り返しで、スキル不足になる不安があるから辞めたいんだな…」とか。
そんな感じでスッキリと自分の腑に落ちると、解決策は自然と見えてきます。
「●●さんはすごく嫌だけど、仕事だから仕方ない部分はあるよね。●●さんが嫌いだとしても、嫌な感情を引きずらない方法はないかな?」
「今の職場で他に身に付く仕事は無いかな?もしくは、自分が身に付けたいスキルを磨ける職場は無いかな?」
とか、建設的で前向きな解決策が見えてきます。
職場を変えることが解決策なら…?
真の問題を明らかにして、解決策を考えた時に、「やっぱり今の職場を変えたい」ということであれば、今の老健を辞めて転職するのも一つの方法です。
自分の納得があれば、迷いながらの転職ではなく、目的意識を持って前向きに転職することができると思います。
参考までに、僕が転職をした際にお世話になった介護転職のエージェントを紹介しておきます。
「メディカルコンシェルジュ」です。
担当の方には大変お世話になりまして、ほぼ悩み相談みたいになっていましたが、きっちり介護の転職市場を踏まえた上でアドバイスしてくれました。
ただ、担当者との相性はあると思うので、他のサービスもご自身の目でチェックしてみてくださいね。
まとめ
老健を辞めたい介護士の方は、全国で1,000人規模でいるはず。
一人じゃない、仲間がいる。
老健を辞めたい理由を明らかにして、真の問題を見極めて、問題解決しよう!
今回はそんなお話でした。
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